ROTH BART BARON(ロットバルトバロン)の中心人物である三船雅也は、日本の音楽シーンで独自の存在感を放つアーティストです。彼の生い立ちや音楽的背景、バンド活動の軌跡を詳しくご紹介します。
1987年5月23日、東京都目黒区で生まれた三船雅也は、幼少期から音楽と深い関わりを持って育ちました。母親の影響で、The BeatlesやThe Beach Boys、松任谷由実などの音楽に親しみ、特撮映画『ゴジラ』や『ウルトラマン』のテーマ曲や効果音も彼の音楽的原体験となりました。家庭環境は音楽に溢れており、常に音楽に囲まれた生活が彼の感性を育てていきました。
三船が音楽に強い関心を持つようになったのは、小学生時代に通っていた塾での経験が大きな影響を与えました。音楽好きの先生がギターの弾き方や音楽の歴史を教えてくれたことで、音楽に対する興味が深まっていきました。この頃から、三船は音楽の表現力やその奥深さに魅了され、徐々に自分で音楽を奏でる楽しさに目覚めていきました。学校の文化祭でのギター演奏は周囲の注目を集め、音楽への情熱をさらに強めました。
家庭内でも音楽の話題は尽きることがなく、家族全員が音楽を楽しむ環境で育ったことで、彼の音楽的感性はさらに磨かれました。また、音楽だけでなく映画や文学にも興味を持ち、異なるアート形態が彼の音楽に新しい視点や深みを与えていきました。文学作品の物語性や映画の視覚的な表現が、彼の楽曲制作に影響を与え、壮大な物語を音楽で表現する意欲を育んでいきました。
中学時代、三船はテニス部に所属し、プロを目指すほど熱心に打ち込んでいました。しかし、高校に進学すると、テニスでの挫折や家庭環境の変化が重なり、学校に通うことが困難になり、引きこもりの生活を送るようになります。この期間、三船は多くの時間をレンタルビデオ店で映画や音楽を鑑賞することに費やし、ライ・クーダーやニール・ヤングなどのフォークミュージックに心を奪われました。
特にライ・クーダーのギターサウンドやニール・ヤングのソウルフルな歌声は、彼の心に深い感銘を与えました。このようにして、音楽が彼の心の支えとなり、新しい道を見出す手助けをしてくれました。不登校から立ち直る過程で通い始めた塾でDTM(デスクトップミュージック)に出会い、自ら音楽制作を始めることになります。これが、彼の音楽家としての基盤を築くきっかけとなりました。
DTMを学ぶことで、三船は音楽をより自由に表現できる手段を得ました。彼はコンピュータを使って楽曲を制作し、自分だけの世界を創り上げる楽しさを知ります。この過程で、彼は音楽制作にのめり込み、寝食を忘れるほどに没頭することもありました。この時期に制作した楽曲は、後のROTH BART BARONの音楽スタイルの原型となるもので、フォークと電子音楽の融合を模索するなど、実験的な試みが多く含まれていました。
高校時代、三船は中学時代の友人である中原鉄也と再会し、音楽の話題で意気投合します。中原との音楽に対する情熱を共有するうちに、2008年にROTH BART BARONを結成することになりました。当初は4人編成のバンドとして活動を開始し、ヤマハが主催する音楽コンテスト「Music Revolution」に東京エリア代表として出場し、「オーディション賞」「優秀賞」を受賞して注目を集めました。
ROTH BART BARONはその後もインディーシーンで着実に知名度を上げ、1st EP『ROTH BART BARON』やデモCD-R『Chocolate Demo』、2nd EP『化け物山と合唱団』を制作しました。これらの作品は、フォークやポストロック、アンビエントなど多様な音楽スタイルを取り入れた独自のサウンドで、多くのリスナーに新鮮な驚きを与えました。また、各地のライブハウスでの演奏活動を通じて、ファンとのつながりを深め、彼らの音楽に対する理解と共感を広げていきました。
バンドの初期の活動は、独特の音楽性とともに、エネルギッシュで自由なライブパフォーマンスでも注目されました。三船と中原は、ライブでの演奏を通して常に新しい音楽表現に挑戦し、観客との一体感を大切にしました。その結果、ROTH BART BARONのライブは「体験型の音楽」として多くのファンに支持されるようになりました。
2014年、ROTH BART BARONは1stアルバム『ロットバルトバロンの氷河期』をアメリカ・フィラデルフィアで制作しました。このアルバムでは、プロデューサーにブライアン・マクティアを迎え、現地のスタジオで録音を行いました。海外の環境で録音することにより、三船は自らの音楽に新しい視点を取り入れ、バンドのサウンドにさらなる奥行きを持たせることができました。
続く2ndアルバム『ATOM』は、カナダ・モントリオールのHotel2tangoで録音され、RADWAN GHAZI MOUMNEHが録音と全曲のミックスを担当しました。このアルバム制作を通じて、三船はモントリオールのアートシーンや地元の音楽家との交流を深め、異なる文化の影響を受けながら音楽的に成長していきました。これらの海外での制作活動は、バンドのサウンドに多様性をもたらし、彼らの音楽に国際的な広がりを持たせました。
また、海外でのレコーディングは、異なるバックグラウンドを持つミュージシャンやエンジニアとのコラボレーションを可能にしました。例えば、フィラデルフィアのレコーディングセッションでは、地元のミュージシャンと即興でセッションを行い、その中から新たなアイデアが生まれることも多かったといいます。このようなコラボレーションを通じて、三船とバンドは新しい音楽的アプローチを学び、彼らの楽曲に独自の深みとダイナミクスを加えることができました。
2023年10月18日、ROTH BART BARONは8thアルバム『8』をリリースし、同年11月から全国ツアー「ROTH BART BARON TOUR 2023-2024『8』」を開催しています。このツアーでは、新作の楽曲を披露しつつ、全国各地のリスナーと音楽を通じて交流を深めています。また、2024年8月4日にはLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で「BEAR NIGHT 5」を開催し、塩塚モエカ(羊文学)、Salyu、YONCE(Suchmos, Hedigan’s)、崎山蒼志をゲストに迎えました。
さらに、2024年11月からは1stアルバム『THE ICE AGE』の10周年を記念した全国ツアー「10th Anv TOUR 2024-2025 / Ice Age: Melt and Blooms」を予定しており、札幌のモエレ沼・ガラスのピラミッドを含む全国18公演を行う予定です。この10周年ツアーでは、バンドの過去と現在を繋ぎ、新しい解釈を加えた演奏が期待されており、彼らの音楽の進化を体感できる機会となるでしょう。
ROTH BART BARONは最新のアルバムで新たな挑戦を続けています。アコースティック楽器とデジタル技術を組み合わせたサウンドメイキングにより、これまでにない新しい音楽体験を提供しています。さらに、アルバムの制作過程では、環境音や自然の音を取り入れることで、楽曲にリアルな世界の息吹を加える試みも行われています。これにより、リスナーは音楽を通じてまるで自然の中にいるかのような感覚を味わうことができるのです。
三船雅也は大学時代に音楽活動を本格化させ、友人とのセッションを通じて、自らの音楽スタイルを模索していました。その中で後にROTH BART BARONを共に結成する中原鉄也と出会い、意気投合しました。2012年、三船と中原を中心にROTH BART BARONが結成され、東京のインディーズ音楽シーンに登場しました。
バンド名は、19世紀の児童文学に登場するキャラクター「ロットバルト」をモチーフにしており、物語性や深い世界観を音楽に込めることを意識しています。この頃から、彼らの音楽にはフォークやアンビエント、ポストロックの要素が色濃く表れ始め、他のバンドとは一線を画す独自のサウンドを確立していきました。
三船と中原は、当初はスタジオでのセッションを重ねながら、バンドの方向性を模索していました。彼らは、自分たちの音楽を通じて物語を伝えたいという共通のビジョンを持ち、それがバンド名の由来にもつながっています。音楽に対する深い愛情と探求心を持つ彼らは、常に新しいサウンドを追求し続け、その結果としてROTH BART BARONの独特な音楽スタイルが形成されました。
ROTH BART BARONの音楽は、壮大なスケール感とエモーショナルな表現力が特徴です。デビューアルバム「Roth Bart Baron’s The Ice Age」では、アメリカのプロデューサーBradley Cookとともに制作し、アメリカ・カナダのエンジニアが関わるなど、早くから海外を意識した作品づくりを行いました。
その後も「ATOM」「The Name of the Rose」など、アルバムごとに異なるテーマを設定し、その都度新しい音楽性を模索しています。例えば「ATOM」ではカナダの音楽シーンとのコラボレーションを通じて、より重厚で多層的な音作りに挑戦し、「The Name of the Rose」では民族音楽やクラシックの要素を取り入れることで、多様なジャンルの融合を実現しました。
ROTH BART BARONの音楽はまた、自然と人間の関係性や、時間の経過と共に変わりゆく感情をテーマにしていることが多く、その歌詞には深い哲学的なメッセージが込められています。彼らの楽曲は、単なる音楽という枠を超え、リスナーに対して深い問いかけを行うものです。このようなテーマ性は、リスナーに強い共感を与え、多くの支持を集めています。
また、海外ツアーやフェスティバルへの参加を通じて、グローバルな視点を持つアーティストとしての存在感を高めています。日本国内だけでなく、海外のリスナーからも高い評価を受けており、彼らの音楽が持つ普遍的なメッセージが国境を越えて共感を呼んでいるのです。彼らのライブは、その音楽性とともに観客との一体感を大切にしており、国を超えたコミュニケーションの場となっています。
三船雅也はROTH BART BARONの活動にとどまらず、ソロアーティストやプロデューサーとしても活動しています。彼は国内外のアーティストとのコラボレーションを通じて、多様な音楽スタイルを吸収し、自身の音楽性をさらに深めています。例えば、サウンドトラック制作では映像作品との相乗効果を意識した繊細なサウンドスケープを展開し、リスナーに強い印象を与えています。
特に、映画や舞台音楽の制作に携わることも多く、その独自のサウンドスケープは映像作品の世界観を広げる重要な役割を果たしています。また、環境問題や社会的テーマを音楽で表現するなど、時代と共鳴するアーティストとしても評価されています。例えば、環境に対する関心をテーマにした楽曲を通じて、リスナーにメッセージを伝え続けています。
三船はまた、他のアーティストとのコラボレーションにも積極的に取り組んでおり、その中で様々な音楽ジャンルやスタイルを吸収しています。彼のソロプロジェクトでは、よりパーソナルなテーマに焦点を当て、内省的で感情豊かな楽曲を制作しています。これにより、ROTH BART BARONの音楽とは異なる側面を持つ作品をリスナーに提供し、新しい音楽体験を提供しています。
三船雅也とROTH BART BARONは、今後もさらなる挑戦を続けていくことでしょう。最新作では、デジタル技術を駆使しながらも、アナログ感を大切にした音作りに取り組んでおり、ジャンルの枠を超えた作品を発表しています。また、ライブ演奏にも力を入れ、映像や照明との融合による体験型のパフォーマンスで、新たな音楽の可能性を模索しています。
彼の創造的なビジョンは、音楽という枠を超え、アートやコミュニティの形を変える影響力を持ち続けています。ROTH BART BARONの音楽は、その壮大なスケール感と感情豊かな表現を通じて、聴く者に新たな発見と感動を与え続けており、今後の彼らの活動からも目が離せません。バンドとしての活動に加え、三船個人としても新たな音楽プロジェクトや映像作品とのコラボレーションなど、多方面での活躍が期待されます。
また、彼らは音楽の枠にとどまらず、他のアートフォームとの融合を通じて、新たな表現を追求しています。例えば、展覧会やパフォーマンスアートとのコラボレーションを行うことで、音楽と視覚芸術の垣根を越えた表現を試みています。こうした取り組みは、アートと音楽の境界を曖昧にし、リスナーに対してより多層的な体験を提供することを目指しています。
A1: 幼少期からThe BeatlesやThe Beach Boys、松任谷由実などの音楽に親しみ、ライ・クーダーやニール・ヤングなどのフォークミュージックにも影響を受けています。さらに、映画音楽やクラシック音楽、文学など、様々なジャンルから影響を受けており、これらが彼の音楽に複雑な深みを与えています。
A2: チャイコフスキーのバレエ『白鳥の湖』のキャラクター「ロットバルト男爵」に由来しています。三船が幼稚園のお遊戯で「ロットバルト」を演じたことが強く記憶に残っており、それがバンド名の由来となっています。また、「ロットバルト」という名前には物語性やドラマチックな要素を音楽に込めたいという思いも込められています。
A3: フォークやポストロック、アンビエントなど、多様なジャンルが融合した独自の音楽性を持っています。楽曲には物語性があり、壮大なスケール感を持ちながらも繊細な表現が特徴です。また、時折エレクトロニカや民族音楽の要素も取り入れることで、多様な音楽的要素を融合しています。
A4: 映画や舞台音楽の制作、他アーティストとのコラボレーションなど、多方面で活動しています。また、社会的なメッセージを音楽に込めるなど、幅広いアプローチを取り入れています。ソロ活動では、ROTH BART BARONの活動とは異なり、よりパーソナルで内面的な表現を追求しています。
A5: 映像や照明と組み合わせた演出で、音楽だけでなく視覚的にも楽しめる体験型パフォーマンスを提供しています。観客が音楽を全身で感じることができるような演出を心がけています。また、会場ごとに異なる演出を行うことが多く、その場限りの特別な体験を提供することにも力を入れています。
A6: デビューアルバム「Roth Bart Baron’s The Ice Age」や、最新作がおすすめです。それぞれの時代のバンドの魅力を楽しむことができ、彼らの音楽の進化の過程を感じることができます。また、「ATOM」や「The Name of the Rose」も、異なる音楽性やテーマを楽しめる作品としておすすめです。